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             【SS】ATフィールド
               第3話「シンジ」
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 二人が別れて数日がたった。
シンジは日中は放浪し、夜になると適当に見つけた家で休むということを続ける。
シンジはどうしてこんなことになったのか考えていた。

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 父さんに呼ばれて第三新東京市に来た。そこでミサトさんにあってネルフにつれ
て行かれた。父さんにエヴァに乗るように言われたけど嫌だった。そして綾波に
会ったんだ。エヴァに乗って使徒と戦った。でも、嫌な思いはしたくなかった。

 ミサトさんの家から逃げ出した。ケンスケに会った。そしてネルフに連れ戻され
た。一度は第三新東京市から離れることになったけど、僕は残ることにしたんだ。

 ヤシマ作戦で綾波はエヴァに乗るのは「絆だから」って言ってた。僕はそのとき
自分は何で乗るのか分からなかった。

 ユニゾンの訓練。ミサトさんのいない夜、アスカは「ジェリコの壁」と言って
ミサトさんの部屋に入っていった。夜中にアスカが寝ぼけて僕の隣に寝てしまった。
僕はアスカにキスしようとしたけど、アスカの寝言を聞いてやめてしまった。

 アスカがマグマに潜ることになった。アスカはマグマの中で使徒と戦うことに
なった。パイプが切れてアスカがマグマの中に沈みそうになったとき、僕はアスカ
を助けるためマグマの中に飛び込んだ。アスカを助けるのに夢中で辛いとは思わな
かった。

 アスカがドイツにいる母さんと電話しているのを見て、僕はアスカのこと知らな
い人だと感じた。

 父さんと墓参りに行ったとき、僕は父さんと話が出来て嬉しかった。父さんのこ
と分かったような気がした。アスカとキスした。でもそれはただ苦しいだけだった。
アスカは洗面所に駆けていってうがいしていた。僕はアスカが何を考えているのか
判らなかった・・・

 トウジが参号機のパイロットだったなんて。僕は参号機を倒すより自分が死んだ
方がいいって言ったんだ。なのに父さんは僕に人殺しさせようとしたんだ。
でも、僕はそのとき、パイロットを助けたかったんじゃない。人を殺したくないだ
けだったのかもしれない。

 そしてエヴァに乗らないって決めたんだ。でも、僕が乗らないことで大勢の人が
死んでしまう。僕のせいで人が死ぬなんて耐えられなかった。

 エヴァに取り込まれた。自分が分からなくなった。取り込まれているあいだずっ
と悩んでいた。でも僕は現実に戻ることにした。

 アスカが使徒の攻撃を受けている。アスカを助けなきゃと思った。でも父さんは
許してくれなかった。僕は何もできなかった。

 綾波が使徒の攻撃を受けている。綾波を助けるため出撃した。でも、綾波は僕を
助けるために自爆してしまった。僕は何もできなかった。

 綾波は生きていた。でも、それは違った。リツコさんに連れられて綾波が生まれ
た所に連れられていった。綾波の形をしたものが壊れていく・・・
僕は綾波が怖くなった・・・

 カヲル君に会った。カヲル君は僕のこと好きだと言ってくれた。カヲル君は優し
かった。でも、使徒だったなんて。僕を裏切ったんだ。僕の気持ちを裏切ったんだ。
カヲル君は殺してくれって言った。僕はカヲル君を殺したくなかった。
でもカヲル君を殺さないと大勢の人が死んでしまう。
僕の存在は人を傷つけ殺してしまうことしかできないのか・・・

 アスカは病室で寝ていた。僕にはもうアスカしかいなかった。綾波は僕の知って
いる、僕を知っている綾波ではないから。ミサトさんは加持さんがいなくなってか
ら変わってしまった。僕の知っている人はアスカしかいなくなってしまった。
でも、アスカは目を覚ましてくれなかった。だから僕はアスカに酷いことをしてし
まった・・・

 僕はアスカを助けることが出来なかった。エヴァが動かせなかったから・・・
エヴァに乗っても僕は叫ぶことしか出来なかった。
巨大な綾波が現れた。怖かった。
そして、カヲル君がそこいた。好きだと言ってくれたカヲル君が。僕は安心できた。
気が付くとアスカが目の前にいた。電車の中で、ミサトさんの部屋で。
でも、アスカも僕の知っているアスカではなかった。
怖くなった。憎らしくなってきた。
誰も優しくしてくれない・・・
僕は誰のことも知らない。誰も僕に教えてくれない。
誰も僕のことを知らない。誰も僕のことを知ってくれない。
だから、みんな消えてなくなれ。僕も消えてなくなれと願った・・・

 でも、それは違ったんだ。誰もいないのは自分もいないということなんだ。
他人がいるから僕がいるんだ。でも自分は他人を傷つける。他人は自分を傷つける。

「でも、僕はもう一度会いたいと思った。その時の気持ちは本当だと思うから」

 そして戻ってきた。

 気が付くと隣にアスカがいた。僕は怖くなった。首を絞めてしまった。
アスカは頬を撫でてくれた。

 現実に戻ってきてアスカは僕を傷つけてきた。僕もアスカを傷つけた。
怖かったんだ。だから一晩中傷つけ合ったんだ。言葉で。

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 シンジは数日考えて悩んでいた。
第三新東京市に来て確かに辛いこともあった。つかの間と言えど楽しいこともあっ
た。他人がいれば辛いこともあるだろうが、他人がいなければ楽しいこともない。
今の自分が絶対ではない。ミサトの残した言葉。自分から動かなければ何も変わら
ない。

「今はアスカしかいないけど、みんな戻って来ると思う。僕はやっぱり傷つけ合う
 のは怖い。でも、とにかく会いたいたんだ。みんなに・・・」

 そしてシンジは二人が別れた場所へ戻ることにした。


第4話「二人再び」へ続く

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