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          【SS】それぞれの季節(5/6)
            〜〜〜それぞれの冬〜〜〜
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 最近、三人の仲はどこかぎくしゃくしていた。
三人がシンジの部屋にいる時間は食事時ということもしばしばあった。

 秋のある日、アスカとレイに告白された。その日の夕食はさすがに気まずい空気
が流れていたが、翌日からはまた普段と同じようにすごしていた。ように見えた。
しかし表面上を繕っていたため時間と共にぎくしゃくし始めてしまったのだ。
さすがににぶちんシンジと言えど二人に「好きだ」と言われれば悩んでしまう。

 ある雪の日、食事も終わり一人になったシンジは自分の部屋で天井を眺めていた。

 そして考える。

 一人暮らしが始まったばかりのころ、三人で食べた食事は楽しかった。
 でも今は、一緒にいるのが気まずい。
 何でだろう・・・

 分かっている・・・

 二人は僕に「好きだ」と言ってきた・・・
 そして二人は答えを待っている。

 僕はその問題から逃げていたのかもしれない。
 言えば誰かを傷つけてしまう。
 でも、言わなければみんな傷ついてしまう。

 僕はアスカと綾波とどっちが好きなのだろう・・・
 多分どっちも好きなのだろう。
 でも、どっちも何か違う。

 僕がここに来たばかりのころ・・・
 僕には何もなかった。

 この街へきて綾波と出会った・・・
 始めは近寄りがたかった。
 でも、憧れていたのかもしれない。
 時間と共に少しづついろんな表情を見せるようになってきた。
 少しでも笑顔が見たいと思った。

 そしてアスカと出会った・・・
 始めは生意気な感じがした。
 一緒に暮らすようになってからはいつもそばにいた。
 アスカは僕にとって始めての事がたくさんあった。
 ユニゾンの訓練で寝ぼけたアスカにキスしそうになった。
 あの時なんでキスしようと思ったのだろう・・・
 そしてキスした。僕だって初めてだったんだ。
 口喧嘩したこともあった。
 でも、自然に接することができた。

 すべて終わって一人暮らしをするようになった・・・
 結果アスカとは隣同士に住むことになった。
 綾波も隣に越してきた。
 そしていつも三人一緒だった。
 食事も宿題も何かするにも三人一緒だった。
 でも、二人が自分の部屋に帰っていくと寂しくなる。

 僕は二人のことどう思っているのだろう・・・

 僕は綾波をどう好きなのか。
 そばに居たい。
 隣に居たい。
 ・・・

 僕はアスカをどう好きなのか。
 そばに居てほしい。
 隣に居てほしい。
 ・・・

 そういえば一人で居るとき・・・

 そうか、そういうことだったんだ!
 いつも一緒にいたい、隣にいてほしいと思う人は・・・


 シンジの迷いは晴れた。


 次の日の夕方、相変わらず気まずい雰囲気の夕食であった。

 三人はほとんど無言で食事をしていた。
食事も終わりシンジは食器をかたづけていた。アスカとレイは無言でそれを眺めて
いた。食器がかたづけ終わった後、アスカとレイは自分の部屋に戻ろうとしたが、
シンジに呼び止められた。シンジはいつになく真剣な顔をしていた。

 アスカとレイは普段と違うシンジの雰囲気になにか気付いた。そしてシンジが話
始めるのを待っていた。

 しばらく無言の時間が過ぎていった。そしてシンジは話始めた。

「どちらが好きかなんて僕にはわからない・・・。
 だって二人とも大切だから、二人とも好きだから。
 ただ、アスカに対する好きと、綾波に対する好きとは違う。
 それに、どちらかを選ぶのはまだ早いような気がする・・・。
 でも、いつかは選ばなくてはいけないんだ・・・
 だから言うよ、彼女になってほしいと思ったのは・・・・・・」



「そして春」へ続く


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